★ 押印は動画付きでその極意を解説。
★ 道具と素材の選び方から作品の仕上げまで。
★「方寸の世界」を写真と図解でわかりやすくご紹介。
◇◆◇ 著者からのコメント ◇◆◇
篆刻とは、印を刻ることを指しますが、
芋版や実用印などとは異なり、
「文字表現」の場であり、
崇高な美意識が働いています。
この美意識とリンクする篆刻の楽しみは大きく分けて
3つあると私は思います。
まず、文字を構成する楽しみです。
篆刻で扱う篆書は、象形文字の要素が強く、
バラエティに富んだ書体です。
印の中に文字をどのように収めるか、
さまざまな形の字を参考にし、
自由な造型感覚を駆使しながら
適した形を模索します。
その中で、小さな四角の中に美意識を凝縮させる
楽しみを実感できます。
文字を構成したら、次は印を刻る楽しみがあります。
印刀を石に食い込ませてガリガリッと刻る感覚は、
平面に字を書く以上に人をのめり込ませるものです。
意図せず石が欠けることもあるでしょうが、
それが却って自然石ならではの味わいとなったりします。
最後には、刻った印を押す楽しみが待っています。
印は年賀状や手紙のほか、蔵書印として使ったりと、
発想次第でさまざまな使い道があります。
いろいろなものに押して、
生活に新たな彩りを加えてみましょう。
本書は初めて篆刻をやる人が読んでも分かるように
易しく解説しています。
また、経験者でもあまり知られていないような
細かい部分の解説も入れています。
技法に関しては、これまでの書籍ではあまり
触れられていない方法を一歩踏み込んで解説しました。
また、「押印の手順」ページを、
動画で視聴することができます。
この本が初学者はもちろん、
中級者の方々にとっても篆刻を
より深める書になることを願います。
篆刻家 川内 伯豐
◇◆◇ 主な目次 ◇◆◇
☆第一章 篆刻とは何か
* 篆書を石材などに刻り印章を作成する
* 篆刻は中国の元時代に始まり、
日本には江戸時代に伝わる
* 多様な作風が出現した清代、
複数の日本印人が当地に渡った
* 各時代で洗練された印章のスタイル
・・・など
☆第二章 篆刻の準備をする
* 必要な用具一式を揃える
* 石印材の種類と特徴を知る
* さまざまな石印材の産地を知る
* 印刀の種類と特徴を知る
・・・など
☆第三章 篆刻を始めよう
* 刻る文字を選んで篆書を調べる
* 白地に墨で書く「白印稿」を作成する
* 黒地に朱墨を用いる「朱印稿」を作成する
* 印面をやすりで平らにする
・・・など
☆第四章 作品・用途に合った印を選ぶ
* 作品に合う印を考えて刻る
* 空間に合わせて複数の印を活用する
* 篆書作品に合う落款印
* 篆書の整斉な姿を敢えて崩し、斬新な表現に調和
・・・など
☆第五章 バリエーション豊かな篆刻に挑戦する
* 全体の印象を捉え、細部を鑑賞する
* 甲骨文特有の鋭い線質を作品に活かす
* 金文を用いてユニークな造形で構成する
* 欠けの技巧を凝らして作品を彩る
・・・など
※本書は2019年発行の
『思い通りに印を刻る 篆刻 上達のコツ 新版』を元に、
新たな内容の増補と動画コンテンツの追加、
書名・装丁の変更、必要な情報の確認を行い、
「改訂版」として新たに発行したものです。