以下、新聞記事より。
「神奈川いきもの図鑑」(前田信二著)豊かな自然環境を再認識
ナチュラリスト・前園泰徳さんの生き物の図鑑を編集していた著者は「私も40歳半ば。残り少ない人生なら、子どもの頃から好きだった生物に関わる本をつくりたい」と、1999年に出版社を設立した。
本職の編集のみならず、独学で身につけた昆虫学や植物学を生かし、自ら野外調査や写真撮影も行った.集めた資料を基に、これまで「尾瀬の自然図鑑」などを手がけてきた。
今回は1年間,神奈川の野山や海を巡った。珍しいヒメハルゼミや身近に見かけるタチツボスミレなどの動物,昆虫,植物,魚など930種をカラー写真で収録。大きさや観察できる季節の他,短い解説を付け、見て楽しく、野外ですぐ役立つ図鑑に仕上げた。
千葉在住の著者が神奈川を選んだのは、再び自然への目を開いてくれた前園さんが千葉の生き物の図鑑を刊行したことがきっかけ。自分も前園さんのように都市近郊に残る自然を取り上げてみようと考えたからだ。
ページをめくると身近に息づく命に驚くとともに、高速で飛ぶトンボや水中を泳ぐ魚,決まった季節にしか咲かない花など、撮影チャンスを待つ苦労もうかがわせる。
環境破壊が叫ばれる中、神奈川の豊かな自然を再認識できる一冊だ。2010年6月27日神奈川新聞
© 神奈川新聞社