★ 伝統の漆技法をもとに、
大切な器を美しくよみがえらせる!
★ 小さな欠けこそ丁寧に。
ポイントをわかりやすく解説。
★ 基本と応用を1冊でマスター。
コツをつかんで自在にアレンジ!
◆◇◆ 監修者からのコメント ◆◇◆
” 漆” という素材に魅了され、
私は仕事をしています。
金継ぎとは「ただ割れた器を繕い、
金色に仕上げることではない」と思っています。
割れてしまった器を愛おしむ気持ち、
器を割ってしまった人をいたわる思い、
その器にまつわる様々なエピソードが
漆で繕われた傷跡に刻まれていると思うと、
傷を知らないまっさらな状態よりも
美しく見えます。
それこそが金継ぎの魅力なのだと思います。
古来より私たちの生活に溶け込んでいた漆は、
知れば知るほどその美しさと堅牢さと、
万能な素材であることに驚くことと思います。
その「漆で繕う」ということは、
時間のかかる作業でもありますので、
初めはその扱いに戸惑うこともあるでしょう。
しかし、スピードや手軽さが重視される
この時代だからこそ、季節や気温や湿度を
感じながら、ゆったりと器に向き合い
繕うことの豊かさを実感できると思います。
そして、一度止まってしまった器と人との時間が、
自分の手によって再び動き出す
喜びを感じていただければ幸いです。
「モノ継ぎ」持永かおり
◆◇◆ 主な目次 ◆◇◆
☆ PART1
金継ぎで使う道具と材料を知る
* 破損状態の確認
器の破損状態に合わせた修繕方法を選ぶ
* 繕いの準備
修繕前にクリーニングと下処理をする
* 基本の道具・材料
繕いの道具と材料を選ぶ
* 基本の道具・材料
基本の道具と材料の用途を知る
* 道具の手入れ
道具の手入れをして長く使用する
・・・など
☆ PART2
小さな欠けを繕う
* 陶器の欠け1 織部釉小鉢
口縁の小さな欠けを丁寧に繕う
* 陶器の欠け2 外焼締ボウル
釉薬のかかっていない器はマスキングをする
* 磁器の欠け1 白磁ドレープカップ
希釈生漆を塗ってから錆付けする
* 磁器の欠け2 白磁輪花小皿
欠けた部分の破片は状況に合わせて使う
・・・など
☆ PART3
ヒビを繕う
* 磁器のヒビ 白磁カップ
ヒビの上に漆を置いて染み込ませる
* いろいろなヒビ紹介
偶然に生まれたヒビの美しさを感じながら修繕する
・・・など
☆ PART4
割れを繕う
* 磁器の割れ1 織部釉フィンカップ
麦漆を塗ったら湿気を取り込んで接着する
* 磁器の割れ2 染付飯茶碗
破片を仮組みしてから麦漆で接着する
* 陶器の割れ1 鉄釉すり鉢
収まりの悪い破片はエッジをやすりで削る
* 漆を使わない修復方法
食器以外のものは合成接着剤を使って修復できる
・・・など
☆ PART5
難易度の高い破損を繕う
* 陶器の大きな欠け 織部釉小鉢
強度の高い刻苧漆で大きな欠けを造形する
* 陶器の複雑な割れ 白釉マグカップ
取っ手の接着部分に麻糸を巻きつけて補強する
* 陶器の複雑な割れ 白粉引き手付きポット
粗い土の器は素地に漆が逃げないようにする
* 楽焼の複雑な割れ 楽焼抹茶茶碗
バラバラの破片はブロック分けしてから接着する
* ガラスの修繕について
ガラスの修繕は高度な技術や多くの知識と経験を要する
・・・など
※本書は2017 年発行の
『繕うワザを磨く金継ぎ 上達レッスン』
の新版です。